40ページの決算申告書を、AIと一緒に読み合わせてみた話
決算が終わると、顧問税理士さんから申告書一式が送られてきます。中身は勘定科目や税額計算がびっしり並んだ書類で、正直、隅から隅まで読んだことはこれまでありませんでした。
「専門家が作ってくれたものだから」という安心感はもちろんあります。ただ、経営者として自分の会社の数字がどう申告されているか、内容を理解しておきたいという気持ちも同時にありました。特にうちは法人としての決算がまだ日の浅い会社です。慣れているベテラン経営者であれば毎年の流れで済ませられる部分も、私にとってはまだ一つひとつ確認しながら進む段階だと思っています。
それなら、いつもより時間をかけて中身を追ってみよう。今回は、そのためにAIと一緒に読み合わせをしてみた、という話です。
申告書一式は6つのPDFファイル、合計40ページありました。まずAIにそのまま読み込ませようとしたのですが、うまくいきませんでした。
申告書のような書類は、罫線や項目名が画像として作られていることがあり、そのままではテキストとして取り出せない場合があります。今回のPDFもそのタイプで、ページを画像として扱う形に変換してから、ようやく内容を確認できる状態になりました。
申告書に書かれている数字や項目が、会計データや決算報告書の内容と一致しているかを、1ページずつ突き合わせました。これは「税務処理が正しいかどうか」を判断する作業ではありません。あくまで「書かれている内容が、手元のデータと合っているか」を確認する作業です。
AIにページの画像を見せて、記載内容を読み上げてもらう。それを自分でもう一つの資料と照らし合わせる。この繰り返しを、6ファイル・40ページ分、一枚ずつ進めていきました。
正直、途中までは「これは骨が折れる作業だな」と思っていました。ただ、AIが先にページの内容を整理して提示してくれるので、自分の役割は「その整理が合っているかを確認する」ことに絞られます。40ページを最初から最後まで一人で目で追うのと比べると、確認すべき項目がはっきりしている分、見落としが減る感覚がありました。
今回の読み合わせでは、申告書の記載内容と手元のデータとの間で、目立った不一致は見つかりませんでした。それだけの話です。「だから安心」と大きく言うつもりはありません。AIの読み取りにも誤りはあり得るため、今回の方法で確認できた範囲での話です。ただ、内容を自分の目で確認したという事実は残ります。
今回やったのは、あくまで自分自身が申告書の中身を理解するための読み合わせです。申告書の作成、税務上の判断、税務署とのやり取りは、専門知識を持つ顧問税理士さんの仕事であり、AIとの読み合わせがそれに置き換わるものではありません。
顧問税理士さんへの信頼が前提にあってこそ、こういう取り組みもできると思っています。「チェックする」というより「教わった内容を、自分でもう一度なぞってみる」という感覚に近いです。税務の判断が必要な場面では、これからも顧問税理士さんに相談します。
| 工程 | 担当 |
|---|---|
| ページの画像化・内容の読み取り | AI |
| 会計データ・決算報告書との突き合わせ | 人+AI |
| 気になる箇所の確認・最終判断 | 人 |
| 申告書の作成・税務上の判断 | 顧問税理士 |
決算書類はどうしても専門的で、経営者自身が細部まで把握しないまま進んでしまうことは珍しくないと感じています。忙しい時期であればなおさらで、「専門家に任せているから大丈夫」という言葉で、確認を先送りにしてしまうこともあると思います。
以前Claudeを業務に使い始めて変わったことで書いたように、うちではAIを日々の業務のいろんな場面で使うようになりました。freeeで経理を自動化した話の延長として、今回の読み合わせも、日々の数字を扱う流れの中にある取り組みだと感じています。決算という一年に一度の書類だからこそ、後回しにせず向き合う機会にできたのは良かったと思っています。
申告書の中身を一度自分の目で追ったことで、決算の数字を人に聞かれたときに、自分の言葉で説明できる部分が増えました。顧問税理士さんに任せきりにしないという姿勢は、経営として当たり前かもしれませんが、今回あらためて実感した部分です。